翔ぶ少女

『翔ぶ少女』 

 原田マハ 著

正義の味方はたいてい空を飛んでやってきます。
空を飛ぶ乗り物に乗ってやってきたり,雲に乗ってやってきたり,鳥のように羽ばたいてやってきたり,マントを翻してやってきたり…。

「誰かを助けたくて,すぐにでもなんとかしたくて,いっそ空を飛んでいけたら」…そんなこと今まで思ったことがないです。
そもそも飛んでなんていけないし…そう思っていましたが,この本を読み終わったらそうではないということに気付きました。

文庫本の表紙写真はルーブル美術館の三大貴婦人の一つともいわれている「サモトラケのニケ」の彫像…石像で,頭部と腕,足の一部分は震災によって崩れてしまったと言われていますが,この未完成さが見る人々の想像力を掻き立て,魅力を増していると言われているそうです。

一方,私が手にした単行本の表紙写真は淡路島出身の美術家前川秀樹氏による像刻です。

この像刻について前川氏が語った話を読んだのですが,「ああ,単行本を手にしてよかったな」と思いました。物語を読んで作者から私が受け取ったことと,前川氏の像刻作りに対する姿勢が重なり合ったからです。
興味のある方は是非読んでみてください。
http://shinyodo.net/shinyodo/shinyodo_zuhre2_talk01.html

 

 

他の人は『翔ぶ少女』を読んで,作者から何を受け取るのかしら?
ホンバタカイギの囲む本にしたい一冊です。