『図書室のキリギリス』
竹内真 作
双葉社
最近は「残留思念」という言葉がはやっているのでしょうか。残留思念を辿って主人公が事件の犯人を捜すというような話を、最近テレビドラマなどでよく観る気がします。
「残留思念」から私が真っ先に思い浮かべたのは、ガードレールの傍らに置かれた、すっかり枯れてしまった花束、、、交通事故の現場となったところなのでしょう。何かの本に「むやみやたらにそういうところで手を合わせると、そこに漂っている霊魂が取り憑くので、注意した方がいい」と書いてあるのを読んで、鳥肌が立ったことがあります。
この物語はそういう怖い話ではなくて、心温まる話なのでどうぞ安心してお読みください。
私は現在学校司書として小学校で働いているので、物語の舞台が高校とはいえ、「あるある」と共感できるところがたくさんありました。
読み聞かせのボランティアは「読書の種まき」といった人がいました。学校司書はその種に毎日水をまいたりする仕事かなと思っていたのですが,実際仕事をしていくと、少し違うかなと思ってきました。
「本を通して広がっていく世界」、、、そう、世界をどんどん広げていくのに、本がいつでも味方だよ、そしてその本でつながっている人たちも、みんなあなたの味方だよ、、、そんなことを子どもたちに知ってもらえるようにすることが学校司書の仕事のひとつでしょうか。
詩織と同様キリギリスな「なんちゃって学校司書」の私ですが、一応来年度も働けることが決まりました。同じ学校に勤務できるかはまだ分からないので、異動が決まった時にスムーズに引き継げるように、永田さんのように引き継ぎ書を作っておかなくてはいけませんが、どうにもそれは私の不得意分野でして、、、。
せめて「残留思念」ではなくて「残留仕事」を残さないようにしたいなあと思っています。