「東慶寺花だより」
井上ひさし 作
時代小説でもあり、ちょっとした推理小説要素もあり、とても楽しく読める本です。
井上ひさしの作品をいろいろときちんと読みたくなりました。
それぞれの章の始めの3行ほどに、季節の移ろいを描いた文章があるのですが、それがまたいいのです。
この小説を読む前に、友人たちと東慶寺を訪れたのですが、アジサイのトップシーズンを迎える前だったためか、それほど人出もなく、こじんまりとした庭が心地よく、何度でも訪れたいと思わせる素敵なお寺でした。
かつて駆け込み寺であったと聞いていたので、なんだか重々しい空気が漂う古寺を連想していたのですが…。
小説のほうも,滑稽本作者兼見習い医師の信次郎さん目線でのんびりと構えた感じで書かれているので、さわやかで明るい物語です。
お美代ちゃんとのその後が気になるところですが、余韻を残してあれこれ推測できる物語って楽しいですよね。
東慶寺を訪れたわけは…あれこれ推測できるように、秘密にでもしておきましょうか。