かいじゅうたちのいるところ


「かいじゅうたちのいるところ」

 デイヴ・エガーズ

 河出書房新社

 

 仕事で絵本「かいじゅうたちのいるところ」(センダック)が必要になり、図書館で予約をしたのが間違ってこの本でした。

 「しまったあ」と思ったのですが、せっかく借りたので読んでみようと消極的に読み始め、これが意外に面白かったのです。

 センダックの絵本とスパイク・ジョーンズと著者による映画の脚本とが根底にあるのですが、小説ならではの世界観があるようです。

 今まで原作のある映画を観ると、まずは原作より面白いとかつまらないとか考えていたのですが、それぞれ作品としては別物で、比べて論じるのは見当違いのことなんだなあと思えてきました。

 私は映画版を観ていないのですが,機会があれば鑑賞してみたいと思います。

 翻訳もいいのだと思いますし、脚本をもとにしているだけあって、すべての場面でイメージが鮮明に思い浮かびます。

 私が特に「いかにもアメリカ映画」っぽくて好きな場面は、冒頭部分で主人公が友達の家を訪ねるところです。「やるなら今日、イエス!」と書いてあるTシャツを着ている友達のママの後ろには、エクササイズビデオが一時停止になっていて、画面の中では筋肉モリモリの女の人が画面のずっと外にある何かを必死にとろうとしている、、、という描写は、物語には関係ありそうで関係なくて、実は関係あるのかも。

 そこまでは深く読めていませんが、ばかばかしくて笑えるところが好きなのです。