アルジャーノンに花束を

 

「アルジャーノンに花束を」

 ダニエル・キイス

 早川書房

 

友人から勧められて読みました。友人からは「好きだけど辛くなるので読み返せない本」と聞いていたので,最後まで読み終われるか心配だったのですが,辛いというよりも「最後どうなる」という興味で,一気に読んでしまいました。その友人と違う本を読んだ後にも感想を言い合って感じたのですが,私は彼女に比べるとかなりの鈍感のようです。
さて,星新一の小説に出てくるような悪魔が「キミに知脳か愛情を与えたり受け入れる能力のどちらか一つだけをたっぷりと授けてあげよう」と言われたら,私は間違いなく「知能」を選ぶだろうなあと思います。
「知能」の方が確かで,持っているという手ごたえがあって,周りの人に左右されることない物のように思えるからです。
たとえ,その代償にすべての「愛情」を奪われてしまったとしても…です。
「愛情」は相手あってのもので,それが最高の能力だといわれても,相手の人間によっては「本当にそうだろうか」と常に不安に感じてしまいそうだからです。
読み終わった後に,映画「BIG」を思い出しました。双方の作者が言わんとしていることは,実は共通点がたくさんありそうに思えます。同じならば,やはり楽しい話の方がいいなあ…と辛いことからは目をつぶって逃げがちな私は,またもや逃げ腰になってしまうのでした。
でも,私は自分からは逃げませんよ。