博士の愛した数式


「博士の愛した数式」

 小川洋子 著

 新潮社

 

 今回で読むのは2度目です。以前の一行読後感想には「面白かったけどナゾが多い」と書いてありましたが,記憶には「数式を物語に面白くからめたもの」という印象が残っていました。

 ですが,今回は人と人とのかかわりのほうが気にかかり,現在の私とお年寄りの関わりについて考えさせられることとなりました。

 一度目に読んだときは,訪問介護ヘルパーの職に就いている時で,利用者さんとの関わりについては,もちろんマニュアルが存在し,しかもお客様とサービス提供者という人間関係がはっきりしていたのですが,ここ最近関わりのあるデイサービスの利用者さんとは,マニュアルも,はっきりした人間関係の相関図を示してくれる会社もボスもいません。

 なので,当然のことなのですが,「人と人」としてのお付き合いとなるのです。シンプルであるがゆえに難しいことです。

 まずはあいさつ,身だしなみ…せっかくの機会を丁寧に重ねていきたいと思いました。

 それにしても,登場人物の一人「ルート」はどうしてあの場面でひどく怒ったのかが2回読んでもわかりません。これは3回読んで読書座談会に持ち込むべきではと思っています。