「青春夜明け前」
重松清 作
講談社文庫
10代,男子,考えることはただ一つ,おバカな時代を描いた短編集です。
なんとも切ない物語が多い重松清の作品で,これもまた,ちょっぴり切ないのですが,なんせ「おバカ時代」の物語なので,思わず笑ってしまう場面が連続です。電車の中で読まなくてよかった…。
「モズクとヒジキと屋上で」が中でも一番笑えて,切ない気持になりました。
青春かあ…当時は本当に小さな小さな世界の中に居て,それが全てだったけど,未来だけは無限に目の前に広がっていて,それが不安にさせる原因だったのかなあと,今思い返してみると感じます。
今はある程度なんでもわかってしまって,「無限」なんて言葉とはすっかり縁遠くなってしまった日々を淡々と過ごしています。いやいや,相変わらず未来は無限に広がっているのに,勝手に限界を決めてしまっているだけですね。